【売約済】グレン・グールド／バッハ:トッカータ集 (全7曲) 2CD

バッハ 2枚組
disc 1
①トッカータ ニ長調 BWV.912
②トッカータ 嬰ヘ短調 BWV.910
③トッカータ ニ短調 BWV.913
disc 2
④トッカータ ハ短調 BWV.911
⑤トッカータ ト短調 BWV.915
⑥トッカータ ト長調 BWV.916
⑦トッカータ ホ短調 BWV.914

グレン・グールド
録音:1976年①②③、1979年④⑤⑥、1963年⑦

バッハの7曲のトッカータは、いずれもバッハの若い頃の作品、想定された楽器はもちろんチェンバロで、たいてい即興的な導入部を持ち、フーガなどの対位法的な部分とレチタティーヴォ風の部分が交互に組み合わされています。即興的で自由なファンタジーと劇的な表出力が魅力です。そのため、緊張感に溢れ、奔放かつ劇的で華やかな趣をもった演奏が多いですが、グールドはここでもユニークな演奏を展開しています。楽曲の全体の構造を重視するよりも、一つ一つの音により意識を集中し、時々の瞬間を味わうように演奏しています。バッハの目論見とは異なるものの、全体的にはこの上なくリリカルな詩情が感じられる演奏になっています。

トッカータ本来の魅力が「自由さ」にあるのだとしたら、グールドによる奔放かつ緩急に富んだ解釈は実は非常に理に適っている。必然的に構成上も起伏に富んでいるので、これもグールドの個性と相性が良い。一音一音の明瞭さ、時に脅威的な速弾きをしながら、常に軽くブレーキを踏んでいるような絶妙なコントロール等、他の作品にも共通するグールドの個性もきっちり表現されている。

バッハのトッカータは、その内側にあらゆるイディオムが盛り込まれていることが革新的。相変わらずグールドは鼻歌を歌う。その音と同期するように奏される音楽は、どの瞬間も人間的で熱い。バッハの、知性と感性が見事に混ざり合う奇蹟の作品たちに僕は舌を巻く。例えば、ハ短調BWV910の陰りのある情熱。また、ニ短調BWV913の悲哀。いかにも無機的な風貌をまとった浪漫的解釈に、バッハの本質を垣間見る。グレン・グールドのバッハは、やっぱり永遠です。

輸入盤、盤面傷無し

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